アイキャッチ画像はAIで作った元寇の戦い
身体操作だけでは壁を突き破れない。
武道やスポーツが身体操作だけではなかなか機能しない。体が動いても結果につながらない。そうした原因は、武道やスポーツのほとんどが対人競技であるからです。対人競技は相手との関係性の上で成立しています。相手にとって有利か不利かが重要であり、自分が変わっても相手に影響が起きなければ意味をなさないからです。
とりわけ格闘術である武道武術は、個人がテクニックや身体能力にこだわりすぎています。ついコーチ任せになり戦術的にどこからどう攻めていくのかということが希薄になります。ところが本当に武術が機能するためには戦術が大切であり、戦術があるから技や技術が機能するのです。
例えば合氣上げができても戦いに機能しなくては宝の持ち腐れ。相手が手首を取るシチュエーションがないと機能しないのであれば、相手が手首を封じるだけの理由を用意する必要があるのです。つまり、技は相手との関係を用意してはじめて機能するのです。この相手との関係を用意するのが戦術です。
三角の理で戦う
中でも武術武道の技が機能するためにこれだけは理解しておいた方がいいという戦術があります。これは戦術というか戦ごとには前提となるコンセプトです。それが「三角で突進する」という考え方です。この三角の理は物理であり、力学です。そして、元は船での戦いの考え方でもあります。
移乗攻撃こそ武術の潜在的なコンセプト
大昔、海や河川での船での戦闘は、まず船をぶつけて船員が乗り込んで戦うものでした。この船に乗り込んで戦うことを移乗攻撃といいます。船の先端で相手の船に追突して横腹に穴を開け転覆させたり、後ろにに回り込んで大きなフックや熊手で引っ掛けて船を手繰り寄せて移乗攻撃をしていたのです。また、車の横付けのような形で並び、そこに橋をかけて乗り込むこともしたのです。
(ちなみにこの橋を港湾用語でギャングウェイといいギャングとは本来はこの荷役だった人を意味し、彼らが違法なものを流通させるようになって俗称になったことと、移乗攻撃による海賊の意味が由来です)
三角の頂点をどこに向けるか
船を上から見た時のシルエットを二等編三角形で表すと、相手の三角の側面に回り込んで横付けして移乗攻撃するのは自然です。実は原則、武術はこのフォーマットでできています。三角で突進して、角度を変えてまた三角で突進する。これを繰り返しているんです。三角の頂点が角度を変えてこづきあっているんです。
こんな感じ
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なので武道の体捌きが何を表現しているのかというと、この船の移乗攻撃のスタイルなのです。なんだか武道の構えが船の形に見えてきましたでしょ。これは剣を持つと尚更そう見えちゃう。腕で三角を作っているのがよくわかりますよね。三角という図形は上から見た乗り物にも見えるし、上から見た剣の構えにも見え、イップマンのように両手で構えているようにも見える。
例えば同じ箇所にワンツーパンチする。このシルエットを上から見たら三角になるんです。全ての武道、格闘技、武術はこの三角のゲームが原則にあるということなんです。これを忘れると技を学んでも、身体操作ができても相手に戦術的に機能しないから忘れないようにブクマしとてください。
ナイハンチも船に横付けする移乗攻撃のトレース
私のバックグラウンドは空手です。空手は元は唐手。沖縄が琉球王朝時代に生まれた唐のギャング(元々の意味ね)の武術×琉球手(王国の御式内の武事)のミクスチャーマーシャルアーツが空手の母体です。唐人も琉球軍事も船を横付けにして戦う作法を学んでいる時代です。
当時の船で渡る人間は皆、海賊から身を守る術を学んでいます。なので、発想のベースがこうなっているんです。乗り物に乗った人が相手の乗り物に乗り込んでいくイメージと、体がぶつかって手足が相手に飛んでいくイメージが同じことに気づきましたでしょ。三角のゲームとして武術を考えるとシンプルだし、動き方が武器術、徒手、そして海戦でも同じということなんです。
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